les signes parmi nous

堀 潤之(Junji HORI) 映画研究・表象文化論

『たのしい知識』のDVD単品発売

明日(4月26日)、IVCから発売されるジャン=リュック・ゴダールの『たのしい知識』のDVDの封入リーフレットに、「『たのしい知識』――ゴダールの挿絵入り辞典」という短いエッセイを寄せた。このディスクは、昨年5月にリリースされたジャン=リュック…

ゴダールの2枚のBlu-rayディスク

3月末に紀伊國屋書店から販売された(発売はマーメイドフィルム)『右側に気をつけろ』(89)と『ゴダール/ソニマージュ初期作品集』のBlu-rayディスク(DVDも併売)に付属するリーフレットに解説原稿を寄せた。後者には、ゴダール&ミエヴィルのコラボレー…

鈴木了二の『建築映画 マテリアル・サスペンス』

『週刊読書人』に、建築家・鈴木了二の新著『建築映画 マテリアル・サスペンス』(LIXIL出版、2013年)の書評を寄せた。 「際立った空間感覚に恵まれた建築家による映画への捧げ物」 鈴木了二『建築映画 マテリアル・サスペンス』(LIXIL出版、2013年)書評…

2012年の仕事

毎年1月中には公開しているので今年はすっかり時期を逸してしまった感があるが、2012年(2012年度ではなく)に発表した仕事を備忘を兼ねてまとめておく。これまで何か発表するたびに、告知もかねて新たなエントリーを立て、書誌情報くらいはその都度記して…

現代美術用語辞典ver.2.0β版ほか

前エントリーに引き続き、これまた旧聞に属する話になるが、アートスケープ(artscape)が9月18日に正式に公開した現代美術用語辞典ver.2.0β版にささやかながら貢献し、以下の4項目を執筆した。(追記2013/01/20:その後、ver.2.0の正式公開に伴ってURLが変…

ジガ・ヴェルトフ集団ボックスの発売

もはや旧聞に属する事柄で恐縮だが、5月末にIVCから発売されたジャン=リュック・ゴダール+ジガ・ヴェルトフ集団 Blu-ray BOXに封入の小冊子に、「ゴダール 1968-1972」という短いエッセイを寄せた。ジャン=リュック・ゴダール+ジガ・ヴェルトフ集団 Bl…

日本におけるゴダール

勤務先の大学にある東西学術研究所の紀要に、以下の文章を寄せた。 堀潤之「映画は音楽のように――日本におけるジャン=リュック・ゴダール作品の受容についてのささやかな覚書」、『東西学術研究所紀要』第45輯、2012年4月、163–177頁 【全文】 この紀要は遠…

《絵描き小僧》展に寄せて

北野武=ビートたけしによる展覧会《絵描き小僧展》(Gosse de peintre)が、東京オペラシティ・アートギャラリーで先週末から始まっている(会期は2012年9月2日まで)。これは2年前にパリのカルチエ財団で催されていたものとほぼ同内容のもののようだ。こ…

『ゴダール・ソシアリスム』ブルーレイ版の発売ほか

以前、このエントリーでも触れた『ゴダール・ソシアリスム』のブルーレイ版(紀伊國屋書店)が、数度の延期を経てようやく発売された。全44頁の封入リーフレットには、中条省平氏によるゴダール・フリートーク(2010年11月27日実施)の採録(4-19頁)と、私…

震災と映像

関西大学で開催したシンポジウム「震災と映像」の一環として、次の発表をした。 堀潤之「カタストロフへのまなざし――収容所の表象をめぐって」、東西学術研究所研究例会、2012年1月28日、於関西大学以文館 このシンポジウムは、同僚の門林岳史氏と私とで企画…

2011年の仕事

昨年の12月半ばに刊行されたミネルヴァ書房の「映画学叢書」の第3巻に以下の論考を寄せた(詳細目次は、ここで見ることができる。また、この叢書については、このエントリーも参照して欲しい)。 「アラン・レネを見るゴダール──『ヒロシマ、モナムール』か…

運動家ゴダール

加藤幹郎氏の監修、および杉野健太郎・塚田幸光の両氏の編集によって、全10巻に及ぶ刊行が予定されているミネルヴァ書房の「映画学叢書」の第2巻に以下の論考を寄せた(「映画学叢書」の第1巻は杉野健太郎編『映画とネイション』としてすでに刊行されてお…

『ゴダール・ソシアリスム』覚書(2) シナリオ採録の増補に向けて

昨年末に公開された『ゴダール・ソシアリスム』についての覚書を、勤務先の紀要に寄せた。 堀潤之「イメージ、写真、社会主義――『ゴダール・ソシアリスム』をめぐって」、『関西大学文学論集』第60巻第2号、2011年9月、47–62頁 全文(PDF) これは、表象…

ル・フレノワについて(1)

フランスのリール近郊に、ル・フレノワ国立現代アート・スタジオという施設がある。映像を使った現代美術のアーティストを養成する教育機関でもあり、年に4回ほど意欲的な展覧会(うち1回は在籍するアーティストたちによる作品展)を催す施設でもある。20…

『ふたりのヌーヴェルヴァーグ』公開に寄せて

ゴダールとトリュフォーの出会いから決別までの軌跡に焦点を当てた『ふたりのヌーヴェルヴァーグ』Deux de la vague (2010)の劇場パンフレットに解説記事を寄稿した(この作品は、K's cinemaで上映中。大阪では第七藝術劇場にて8月27日より公開)。 堀潤之「…

座談会「パリ映画生活」

勤務先の大学院の学生たちと「パリ映画生活」と題した座談会をしました。 座談会「パリ映画生活」(出席者:久保幸治、窪友里、堀潤之) 1.留学に至るまで 2.パリでの生活 3.パリからヨーロッパへ 4.パリにおける映画の研究と教育 5.映画を見る環…

『ゴダール・ソシアリスム』覚書(1) ウェルズの徴の下に

ゴダールが予告編の名手であることはよく知られている。ゴダールの手にかかると、予告編はそれが予告するところの本篇の粗末な要約であるどころか、それ自体として一つの短編としての完成度を備えるようになる。そのことは、作品のキーワード(かわいい女の…

2010年の仕事

2010年を振り返ってみると、4月から在外研究の機会を得ているにもかかわらず、きちんと形にできた論文が思いのほか少ないことに——毎年のことながら——愕然とする。とはいえ、このブログでも記したように、パリとカナダで研究発表をしたのはよい経験になった…

ピエール・エテックスの復活

ピエール・エテックス(1928-)の初期主要作品(長編5本と短編3本)を収録した5枚組のDVDボックスが11月の初めにアルテから発売された(販売元のサイトはここ)。権利がらみのいざこざのため、およそ20年間にわたって見ることができなかった作品群であ…

『ゴダール・ソシアリスム』関連資料(5) MISC.

『ゴダール・ソシアリスム』の関連資料(5) Miscellaneousとして、最後にいくつかの小ネタを紹介する(あわせて関連資料(1)TEXTOS、(2)VIDEOS、(3)AUDIOS、(4)BIBLOSもご参照ください)。

『ゴダール・ソシアリスム』関連資料(4) BIBLOS

『ゴダール・ソシアリスム』関連資料(4) BIBLOSとして、主にフランス語による参考文献をインタヴューと批評に大別し、簡単なコメント付きで挙げておく。ただし、網羅的なものではなく、面白いと思ったものを独断と偏見で厳選したものにすぎない。英語で書…

『ゴダール・ソシアリスム』関連資料(3) AUDIOS

『ゴダール・ソシアリスム』関連資料(3) AUDIOSとして、引用されている音楽の一覧を載せる。ただし、TEXTOS、VIDEOSと比べると、調査があまり行き届いておらず、しかも映画の中で印象的に使われているのにクレジットされていないものも多い。特に第2楽章…

『ゴダール・ソシアリスム』関連資料(2) VIDEOS

『ゴダール・ソシアリスム』関連資料(2) VIDEOSとして、引用されている映像一覧を載せる(関連資料(1)TEXTOSも参照ください)。 『映画史』以降の多くのゴダール作品と同様、本作にもさまざまな映画からの引用がちりばめられているが、なかでも目に付…

『ゴダール・ソシアリスム』関連資料(1) TEXTOS

来る12月18日に日本公開される『ゴダール・ソシアリスム』Film Socialismeについての短評を、表象文化論学会のウェブ上のニューズレターに寄せた。 堀 潤之「イメージの社会主義——『ゴダール・ソシアリスム』をめぐって」、『REPRE』11(2010年12月)、(全…

アンヌ・ヴィアゼムスキーの『少女』に寄せて

ロベール・ブレッソンの傑作『バルタザールどこへ行く』(1966)のマリー役で鮮烈な映画デビューを飾り、のちに小説家に転じたアンヌ・ヴィアゼムスキーが、およそ40年後にこの作品の撮影期間を振り返って書いた小説Jeune fille (Gallimard, 2007)が、『少女』…

ZKMでの《fast forward 2》

およそ7年半ぶりにドイツ・カールスルーエのZKMに足を運び、ゲーツ・コレクションに基づく《fast foward 2: The Power of Motion》展を終了間際に滑り込みで見た。どうでもいいことだが、2007年に世界最高速を誇るTGV東線が開通したため、パリからの…

カナダでのゴダール学会

カナダのサスカチュワン州にあるレジャイナ大学で9月17日から18日にかけて催されたSonimage: The Legacies of Jean-Luc Godardという学会で「ゴダールと強制収容所」と題された発表をした。 Junji Hori, "Godard and the Concentration Camps", Sonimage: Th…

パリ第3大学でのサマースクール

パリ第3大学の主宰で、6月28日から7月9日にわたって開催されたサマースクールで以下の発表をした。 Junji Hori, "Cinéma, photo, regard: autour de Self and Others de Makoto Sato", Université d'été de l'Université Sorbonne Nouvelle-Paris 3, I…

『写真空間4』

『写真空間4』に以下の記事を寄せた。 「映画にとって写真とは何か〈4〉 「映像の停止」をめぐる覚え書き」、『写真空間4』、青弓社、2010年7月、134-141頁 写真空間 4 特集:世界八大写真家論作者: 青弓社編集部出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2010/07/0…

北野武の展覧会

この4月から1年間の在外研究の機会を得て、短い滞在を除けばおよそ6年半ぶりのパリを満喫している。日本から持ち込んだ仕事にも取りかからなければならないし、滞在中に進めたいプロジェクトも溜まっているにもかかわらず、つい目先の誘惑に身をゆだねて…