les signes parmi nous

堀 潤之(Junji HORI) 映画研究・表象文化論

2010-01-01から1年間の記事一覧

ピエール・エテックスの復活

ピエール・エテックス(1928-)の初期主要作品(長編5本と短編3本)を収録した5枚組のDVDボックスが11月の初めにアルテから発売された(販売元のサイトはここ)。権利がらみのいざこざのため、およそ20年間にわたって見ることができなかった作品群であ…

『ゴダール・ソシアリスム』関連資料(5) MISC.

『ゴダール・ソシアリスム』の関連資料(5) Miscellaneousとして、最後にいくつかの小ネタを紹介する(あわせて関連資料(1)TEXTOS、(2)VIDEOS、(3)AUDIOS、(4)BIBLOSもご参照ください)。

『ゴダール・ソシアリスム』関連資料(4) BIBLOS

『ゴダール・ソシアリスム』関連資料(4) BIBLOSとして、主にフランス語による参考文献をインタヴューと批評に大別し、簡単なコメント付きで挙げておく。ただし、網羅的なものではなく、面白いと思ったものを独断と偏見で厳選したものにすぎない。英語で書…

『ゴダール・ソシアリスム』関連資料(3) AUDIOS

『ゴダール・ソシアリスム』関連資料(3) AUDIOSとして、引用されている音楽の一覧を載せる。ただし、TEXTOS、VIDEOSと比べると、調査があまり行き届いておらず、しかも映画の中で印象的に使われているのにクレジットされていないものも多い。特に第2楽章…

『ゴダール・ソシアリスム』関連資料(2) VIDEOS

『ゴダール・ソシアリスム』関連資料(2) VIDEOSとして、引用されている映像一覧を載せる(関連資料(1)TEXTOSも参照ください)。 『映画史』以降の多くのゴダール作品と同様、本作にもさまざまな映画からの引用がちりばめられているが、なかでも目に付…

『ゴダール・ソシアリスム』関連資料(1) TEXTOS

来る12月18日に日本公開される『ゴダール・ソシアリスム』Film Socialismeについての短評を、表象文化論学会のウェブ上のニューズレターに寄せた。 堀 潤之「イメージの社会主義——『ゴダール・ソシアリスム』をめぐって」、『REPRE』11(2010年12月)、(全…

アンヌ・ヴィアゼムスキーの『少女』に寄せて

ロベール・ブレッソンの傑作『バルタザールどこへ行く』(1966)のマリー役で鮮烈な映画デビューを飾り、のちに小説家に転じたアンヌ・ヴィアゼムスキーが、およそ40年後にこの作品の撮影期間を振り返って書いた小説Jeune fille (Gallimard, 2007)が、『少女』…

ZKMでの《fast forward 2》

およそ7年半ぶりにドイツ・カールスルーエのZKMに足を運び、ゲーツ・コレクションに基づく《fast foward 2: The Power of Motion》展を終了間際に滑り込みで見た。どうでもいいことだが、2007年に世界最高速を誇るTGV東線が開通したため、パリからの…

カナダでのゴダール学会

カナダのサスカチュワン州にあるレジャイナ大学で9月17日から18日にかけて催されたSonimage: The Legacies of Jean-Luc Godardという学会で「ゴダールと強制収容所」と題された発表をした。 Junji Hori, "Godard and the Concentration Camps", Sonimage: Th…

パリ第3大学でのサマースクール

パリ第3大学の主宰で、6月28日から7月9日にわたって開催されたサマースクールで以下の発表をした。 Junji Hori, "Cinéma, photo, regard: autour de Self and Others de Makoto Sato", Université d'été de l'Université Sorbonne Nouvelle-Paris 3, I…

『写真空間4』

『写真空間4』に以下の記事を寄せた。 「映画にとって写真とは何か〈4〉 「映像の停止」をめぐる覚え書き」、『写真空間4』、青弓社、2010年7月、134-141頁 写真空間 4 特集:世界八大写真家論作者: 青弓社編集部出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2010/07/0…

北野武の展覧会

この4月から1年間の在外研究の機会を得て、短い滞在を除けばおよそ6年半ぶりのパリを満喫している。日本から持ち込んだ仕事にも取りかからなければならないし、滞在中に進めたいプロジェクトも溜まっているにもかかわらず、つい目先の誘惑に身をゆだねて…

『月刊百科』

平凡社のPR誌『月刊百科』2010年5月号に以下の短い記事を書きました。「ランシエールの芸術論への誘い——『イメージの運命』刊行に寄せて」、『月刊百科』2010年5月号(通巻571号)、平凡社、2010年5月号、4-5頁ところで、ランシエールの芸術論として最新の…

インターネット上のゴダール

ジャン=リュック・ゴダールの新作『Film Socialisme』は、フランスでは5月19日に封切られ、その前日にカンヌ映画祭の「ある視点」部門で上映されるが、なんとインターネット上ではそれに先だって17日からfilmotvのVOD(ヴィデオ・オン・デマンド)で視聴…

北野圭介『映像論序説』書評

北野圭介『映像論序説――〈デジタル/アナログ〉を越えて』(人文書院、2009)の書評を書きました。 「来るべき時代の映像論」、『表象』04号、表象文化論学会、2010年4月、145-152頁。表象 04 特集 パフォーマンスの多様体作者: 表象文化論学会出版社/メーカ…

ランシエール『イメージの運命』の原文

翻訳書を読んでいると、時々原文を確認したくなる場合がある。原書を持っていたり、すぐに入手できるならば何の問題もないが、『イメージの運命』の原書(Le Destin des images, La Fabrique, 2003)はどうやら全国の大学図書館のうち15館にしか所蔵されて…

V 表象不可能なものがあるのかどうか

この章に関しては、特に図版は必要ないだろう。

IV デザインの表面

●コロマン・モーザー《踊り子》、1910年頃(129-130頁) 詩人マラルメと技師ベーレンスのあいだにある隔たりのうちの近さ、あるいは近さのうちの隔たりを考える際、ある中間的な形象、舞踏詩と広告のイメージの境界線上に位置するある形象が助けになるかもし…

III テクストの中の絵画

●ジャン=バティスト・グルーズ《セプティミウス・セウェルスとカラカラ》、1769年(99頁) だからこそ、ディドロは、グルーズがセプティミウス・セウェルスの肌の色を薄黒くして、カラカラを札付きの悪党として描いたことに対して、逆説的な非難をすること…

II 文章、イメージ、歴史

本章の理解にあたっては、ゴダールの『映画史』4Bの該当箇所を見ておいた方がよいのだが、さすがにウェブ上にはあがっていないようだ。 ●『マルクス捕物帖』A Night in Casablanca (1946)の冒頭のギャグ(65頁) このシーンのランシエールによる記述は、い…

『イメージの運命』参考図版(2)

I イメージの運命

●ロベール・ブレッソン『バルタザールどこへ行く』(1966年)の冒頭(11-13頁) クレジット・タイトルとそれに続く三つのショットのうちに、私たちはあるイメージ性の体制——すなわち、諸々の要素と機能のあいだの関係の体制——全体を手にしています。それはま…

『イメージの運命』参考図版(1)

前のエントリーで予告したとおり、ランシエールの『イメージの運命』を読むに際して役に立ちそうな図版(あくまで選択的なものに過ぎないが)を載せておく。

ジャック・ランシエールの『イメージの運命』

ジャック・ランシエールの『イメージの運命』(Jacques Rancière, Le Destin des images, La Fabrique, 2003)が、3月18日配本予定で平凡社から出版されることになった。イメージの運命作者: ジャックランシエール,Jacques Ranci`ere,堀潤之出版社/メーカー: …

ゴダールの新しい評伝

ジャン=リュック・ゴダールは、2010年12月3日に80歳を迎える。節目の年ということで、いくつかの企画が進行しているようだ。 まず、トリュフォーの評伝でも知られるアントワーヌ・ド・ベックによる、800頁以上に及ぶゴダールの評伝が、3月10日にグラッセか…

松村浩行の『TOCHKA』

伊藤洋司さんが編集した『中央評論』の日本映画特集号に、松村浩行の『TOCHKA』について文章を書きました。昨年の3月にシネドライヴ2009の一環でPLANET+1で見て以来、頭から離れなかった作品です。「絶望的な反復の呪縛——松村浩行『TOCHKA』論」、『中央評…

最近の仕事

ずっと更新していなかったホームページは文章の保管庫とすることにして、今後はこちらに諸々の告知やちょっとした文章を書き付けることにします。以下は2009年の仕事です。2009年の半分くらいは、ヨコハマ国際映像祭2009のフォーラム部門の準備に明け暮れま…