2010年の仕事
2010年を振り返ってみると、4月から在外研究の機会を得ているにもかかわらず、きちんと形にできた論文が思いのほか少ないことに——毎年のことながら——愕然とする。とはいえ、このブログでも記したように、パリとカナダで研究発表をしたのはよい経験になった(それぞれ「パリ第3大学でのサマースクール」と「カナダでのゴダール学会」を参照)。そして、久しぶりにまとまった時間を使って色々な勉強ができたので、その成果を今後じわじわと、研究と教育に反映することができればと思っている。
昨年はゴダールの新作『ゴダール・ソシアリスム』が5月半ばに封切られた年でもあった。それ以降、他の仕事をしているときでも、この作品のことはずっと頭の片隅にあった。形になったのは、「『ゴダール・ソシアリスム』関連資料(1) TEXTOS」に記したように、『REPRE』11号に書いた短評と、劇場パンフレット所収の採録・注釈のみだが(とはいえ、後者には相当のエネルギーが投入されている)、他のかたちでも受けた刺激を放出したいと思っている。
また、このエントリーほかで記したように、2010年には積年の宿題だったランシエールの『イメージの運命』の翻訳を刊行することができた。本書およびランシエールに関して多少フォローアップしておくと、『週刊読書人』第2840号(2010年5月28号)に廣瀬純氏によるユニークな書評が、日本映画学会会報第23号(2010年6月号)に大傍正規氏による充実した書評(下の方にスクロールすると出てくる)がそれぞれ掲載され、わたし自身も『月刊百科』2010年5月号と『REPRE』11号の新刊紹介で本書を紹介する機会を得た。ランシエールは昨年は新刊を出さなかったはずだが、このエントリーで軽く触れた論考のほか、「ピクトリアル・ターン」についての論考« Les images veulent-elles vraiment vivre? » (Emmanuel Alloa (dir.), Penser l'Image, Les presses du réel, 2010, pp.249-263)が出た。
なお、昨年は『イメージの運命』を出せたおかげで、ストップしていた別の翻訳の作業がそれなりに進んだことも記しておこう——ただ、オオカミ少年になりそうなので、委細はまだ告知せずにおくことにしたい。
論文など
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書評・短評など
- 作者: 表象文化論学会
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- Junji Hori, "Deadpan: Anmerkungen zu Takeshi Kitanos Ausstellung « Gosse de peintre » in Paris", CARGO Film/Medien/Kultur 06, 2010.6, p.40-43.【関連エントリー】
口頭発表など
- "Cinéma, photo, regard: autour de Self and Others de Makoto Sato", Université d'été de l'Université Sorbonne Nouvelle-Paris 3, Institut National de l'Histoire de l'Art (INHA), Paris, 7 juillet 2010.【関連エントリー】
- "Godard and the Concentration Camps", Sonimage: The Legacies of Jean-Luc Godard, University of Regina, Saskatchewan, Canada, September 17, 2010.【関連エントリー】