les signes parmi nous

堀 潤之(Junji HORI) 映画研究・表象文化論

『写真空間4』

『写真空間4』に以下の記事を寄せた。

  • 「映画にとって写真とは何か〈4〉 「映像の停止」をめぐる覚え書き」、『写真空間4』、青弓社、2010年7月、134-141頁

写真空間 4 特集:世界八大写真家論

写真空間 4 特集:世界八大写真家論

今回は、セルジュ・ダネーが1989年に発表した「映像の停止」をめぐる次の2つの文章を主に取り上げた。「l'arrêt sur l'image」の訳語として「画面静止」や「フリーズ・フレーム」ではなく、「映像の停止」といういささかこなれない語句を使った理由については本文中で少し触れた。

  • Serge Daney, “Du défilement au défilé”, in La Recherche photographique, nº 7, 1989, p.49-51.
  • Serge Daney, “La dernière image”, in Raymond Bellour, Catherine David et Christine Van Assche (éd.), Passages de l’image, Centre Georges Pompidou, 1989, p.57-59.

前者は、すぐれたアンソロジーであるTanya Leighton (ed.), Art and the Moving Image, Tate/Afterall, 2008にも英訳が収録されているなど(“From Movies to Moving”, trans. Brian Holmes, p.334-339)、比較的よく知られたテクストであると言える。

さて、この「連載」も4回目を迎えた(連載と言っても、不定期刊に近いので、あまりペースメーカーにはならないのだが…)。これまでの書誌情報は以下の通りである。

「映画にとって写真とは何か〈1〉「写真的なもの」と死」、『写真空間1』、青弓社、2008年3月、206-214頁
「映画にとって写真とは何か〈2〉 「一秒に二十四回の真実」」、『写真空間2』、青弓社、2008年9月、216-224頁
「映画にとって写真とは何か〈3〉 スチル写真とフォトグラム」、『写真空間3』、青弓社、2009年5月、 127-136頁
「映画にとって写真とは何か〈4〉 「映像の停止」をめぐる覚え書き」、『写真空間4』、青弓社、2010年7月、134-141頁

こうして振り返ってみると、必ずしも明確な方向性は見えていない。だが、映画と写真、さらに広く言えば運動と不動性という軸で、映画の理論と実践を見直すことは、これからの映像芸術の展開を見通すためにも避けて通れない道だと考えているので、もうしばらく、機会がある限り、このテーマに取り組んでみようと思っている。