les signes parmi nous

堀 潤之(Junji HORI) 映画研究・表象文化論

2011-01-01から1年間の記事一覧

運動家ゴダール

加藤幹郎氏の監修、および杉野健太郎・塚田幸光の両氏の編集によって、全10巻に及ぶ刊行が予定されているミネルヴァ書房の「映画学叢書」の第2巻に以下の論考を寄せた(「映画学叢書」の第1巻は杉野健太郎編『映画とネイション』としてすでに刊行されてお…

『ゴダール・ソシアリスム』覚書(2) シナリオ採録の増補に向けて

昨年末に公開された『ゴダール・ソシアリスム』についての覚書を、勤務先の紀要に寄せた。 堀潤之「イメージ、写真、社会主義――『ゴダール・ソシアリスム』をめぐって」、『関西大学文学論集』第60巻第2号、2011年9月、47–62頁 全文(PDF) これは、表象…

ル・フレノワについて(1)

フランスのリール近郊に、ル・フレノワ国立現代アート・スタジオという施設がある。映像を使った現代美術のアーティストを養成する教育機関でもあり、年に4回ほど意欲的な展覧会(うち1回は在籍するアーティストたちによる作品展)を催す施設でもある。20…

『ふたりのヌーヴェルヴァーグ』公開に寄せて

ゴダールとトリュフォーの出会いから決別までの軌跡に焦点を当てた『ふたりのヌーヴェルヴァーグ』Deux de la vague (2010)の劇場パンフレットに解説記事を寄稿した(この作品は、K's cinemaで上映中。大阪では第七藝術劇場にて8月27日より公開)。 堀潤之「…

座談会「パリ映画生活」

勤務先の大学院の学生たちと「パリ映画生活」と題した座談会をしました。 座談会「パリ映画生活」(出席者:久保幸治、窪友里、堀潤之) 1.留学に至るまで 2.パリでの生活 3.パリからヨーロッパへ 4.パリにおける映画の研究と教育 5.映画を見る環…

『ゴダール・ソシアリスム』覚書(1) ウェルズの徴の下に

ゴダールが予告編の名手であることはよく知られている。ゴダールの手にかかると、予告編はそれが予告するところの本篇の粗末な要約であるどころか、それ自体として一つの短編としての完成度を備えるようになる。そのことは、作品のキーワード(かわいい女の…

2010年の仕事

2010年を振り返ってみると、4月から在外研究の機会を得ているにもかかわらず、きちんと形にできた論文が思いのほか少ないことに——毎年のことながら——愕然とする。とはいえ、このブログでも記したように、パリとカナダで研究発表をしたのはよい経験になった…