les signes parmi nous

堀 潤之(Junji HORI) 映画研究・表象文化論

鈴木了二の『建築映画 マテリアル・サスペンス』

週刊読書人』に、建築家・鈴木了二の新著『建築映画 マテリアル・サスペンス』(LIXIL出版、2013年)の書評を寄せた。

「際立った空間感覚に恵まれた建築家による映画への捧げ物」 鈴木了二『建築映画 マテリアル・サスペンス』(LIXIL出版、2013年)書評、『週刊読書人』2982号、2013年3月22日 

建築映画 マテリアル・サスペンス

建築映画 マテリアル・サスペンス

映画と建築を掛け合わせた本としては、飯島洋一の『映画のなかの現代建築』のような軽い読み物や、ドナルド・アルブレヒトの『映画に見る近代建築』といった手堅い概説書から、小津論から押井守論までを含む玉手箱のような五十嵐太郎の『映画的建築/建築的映画』や、長島明夫・結城秀勇編による独創的なカタログ本の『映画空間400選』まで、それぞれに個性的な本が出ているが、鈴木了二による一冊は突出して面白い。また、以前、ベルナール・チュミの短いゴダール論を訳したことがあるのだが(『ゴダール・映像・歴史―『映画史』を読む』所収)、そうしたエッセイはともかく、建築家が映画について一冊の本を著すことは世界的にみても稀であり、その意味でも貴重な本である。

映画のなかの現代建築 映画に見る近代建築―デザイニング・ドリームス (SD選書) 映画的建築/建築的映画 映画空間 400選