les signes parmi nous

堀 潤之(Junji HORI) 映画研究・表象文化論

2012年の仕事

毎年1月中には公開しているので今年はすっかり時期を逸してしまった感があるが、2012年(2012年度ではなく)に発表した仕事を備忘を兼ねてまとめておく。

これまで何か発表するたびに、告知もかねて新たなエントリーを立て、書誌情報くらいはその都度記してきたのだが、昨年はあまりにも忙しく、いくつかの項目に関しては今回初めてブログにお目見えすることとなった。

短い佐藤真論が収められた論集Cinéma, critique des imagesは、イタリアの出版社から出ていることもあり(使用されている言語はフランス語と英語)、手軽なルートでは入手しがたいが、「映画と現代美術」を総合テーマにしたゆるやかな論集シリーズとしては、前身のCinema & Cie誌の何冊かの特集号を除いても6冊目となり(他の5冊の書誌情報は以下の通り)、この領域でどんなことが論じられているかを見渡すには有益な文献である。

また、神戸映画資料館でのハルーン・ファロッキについての講演は、告知も報告もせず、やりっ放しになってしまった。ナチス・ドイツ占領下のオランダに置かれていたヴェステルボルク通過収容所で1944年に撮られた16ミリのフッテージを再構成した『猶予期間』という40分の作品に、日本語字幕を付けて上映し、引き続いて、ファロッキのキャリア全体を通覧しつつ特に『猶予期間』について解説を加えるという、それなりの労力をかけたイベントだったので、何らかの形で文章化したいものである。『猶予期間』は静かで慎ましくも思慮に充ちた作品であり、日本語字幕データもあるので、またどこかで上映の機会があることを願いたい。

論文など
書評・短評など
口頭発表など
  • 「カタストロフへのまなざし――収容所の表象をめぐって」、東西学術研究所研究例会、2012年1月28日、関西大学以文館 【関連エントリー